丘に吹く風

時には地を這うように、時にはささやくように

森に停車したままの列車

yonkichi, · カテゴリー:

富良野・美瑛はあいかわらず人気がある。なぜか昔から道東ばかりに惹かれて、富良野で数日を過ごしたのは、せいぜい上富良野の日の出キャンプ場位だった。他には布部駅に数回、STB(ステーションビバーク)をした位だ。なぜかあまり富良野には縁がない。
とはいえ、最初に訪れた時は「北の国から」の五郎さんの家にも行ったし、富良野レストハウスや唯我独尊で食事もした。ただ最近できたこの手の施設には行ったことがないが…。
友人が美瑛の宿がお気に入りで、今日もまさに今、泊まっているはずだ。私もそれがきっかけで、3度泊まった事があるのだが、難しい所で、私にとってはちょっと路線の違う宿だったようだ。でも悪い宿ではない。逆にこのあたりは特にロケーションは美しく、季節を問わず旅行者が訪れる場所としては、なかなか自分の過ごしやすいように過ごせる宿はないのかもしれない。となるとやっぱり宿ではなく、キャンプになってしまうのかもしれない。
釧路航路が無くなってから、小樽か苫小牧を使わざるを得ない訳で、となると美瑛の宿を旅の終わりの方にもってくる事は悪くない。ある夏、美瑛の宿をゆっくりとチェックアウトし、望岳台で小休止し、吹上温泉の熱い湯に朝っぱらから入り、凌雲閣を経由して富良野を抜け、新空知橋を越え、芦別川方面に逸れるように向かう。山間部の交通量の少ない道を、よいテンポで走り、R452に出て左折。人造湖の桂沢湖を抜け、夕張川と平行に走りながらもうひとつの湖、シューパロ湖が見えてくる。
適度なワインディングと、流せる道は私の好みだ。国道を走るよりもはるかに楽しく、また北海道の森の深さを感じながらアクセルを開けるのは幸せを感じる。250ccの簡単な構造のオフロードバイクは、常にスロットルをフルオープンさせる楽しさもある。軽やかな歯切れのよいシングルのエキゾーストノートと、フルパッキングでリアヘビーなオフ車だが、早い切り返しをしながら、コーナーを立ち上がっていく。私の好きな道だ。
1時間ほど走り続けたあと、そろそろ夕張の町に入ろうとした手前で、右手に何だか強烈な存在感のある物体を視界の端に確認した。思わず降るブレーキでリアがホッピングし、ロック。ブラックマークを残しながら少し行き過ぎて停車した。
Uターンし、そのナニモノかを確認しようと、バイクを停めた。吹上の湯から殆どノンストップで走り続けてきた体に、鳥肌が立つ程の存在感をにじませながら、それはあった。
三菱大夕張鉄道保存会が保存活動をしている、大夕張鉄道の車両が、ホームに横付けされて停まっているのだ。この車両が、昔この夕張という炭鉱町の繁栄とその時代を駆け抜けたそのものだ。当時は石炭や木材を輸送するだけでなく、豪雪の中、石炭ストーブ列車として、地域住民の足としても役立ってきた車両なのだ。
以前夕張の話題何度か書いたが、私は炭鉱に北海道のほんのちょっと前の北海道を肌で感じ、厳しい環境に切り開いてきた人々の生活の跡が、妙に北海道をしみじみと感じられるので惹かれている。それは悲別こと上砂川であり、釧路の太平洋炭鉱も同じだ。何故だかゾクゾクする程、北海道を感じるのだ。
この電車はまさに北海道の産業遺産なのだが、もっと大きな意味で保存していかねばならない。夕張だけでなく、北海道は少しづつ産業構造が変わって行っているのだが、内地にはない日本の中でも特徴的な環境である北海道ならではの歴史もしっかり認識し、大切に語り継いだり、引き継いだりしていかなければならない。開発や快適に変えていく事だけがよい事ではない。もし、後戻りできない歴史があったとしても、それは宿命であり、しっかりと認めていかねばならないのだろう。
この列車の前で、1時間以上も飽きずに眺めていた。その後、ユーパロの湯で風呂に入り、夕張という地の事を自分なりに考えたりした。帰ってきてから、この三菱大夕張鉄道保存会のウェブサイトがあるのに気がついたのだが、偶然でもここを通り掛かってよかったと思った。
今も漆黒の夜の中に、漆黒の車体を溶け込ませながら、きっとホームに停車したままなんだろう。
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4 Responses to “森に停車したままの列車”

  1. じん より:

    停車したままの車両と言うと
    こういうのもありますねぇ。

    http://homepage3.nifty.com/jinjinsan/clip4/kore/index.html
    どういう人たちを乗せ、どこを走っていたのか。
    なにしろ一度ロシアに渡っているみたいなので・・・

  2. よんきち より:

    じんじんさん
    あ、その車両知ってるー。何だか新橋の駅前にあるみたいに、先頭の機関車だけだよね。平取の方は、無意味にポツンと置かれているのを、アクセル開けながら横目で確認しました。(^_^;
    保存って感じじゃないすよね。放置されているとしか言いようがない…うーん。(^_^;鉄じゃないけど、何だかワクワクしますよね。

  3. うりちゃん より:

    国道端に佇むデゴイチ、なんか孤独な感じを受けるのは私だけでしょうか…。
    夕張の機関車、除雪しながら走るのでこの形なんですかね?
    私って、意外と道っちゃんなので、こゆのって気になる。
    今年の冬、アパート探してる最中、見たいなあと思っていたものの1つが、鉄道の除雪車でした。
    ぽっぽや(鉄道員)見て、絶対あれカッコいいと思ったの(^▽^;ゞ
    でも、見られなかったんだ(ノ_・。)
    次の冬には絶対見るぞ~(爆)

  4. よんきち より:

    うりちゃん
    酔っ払いサラリーマンに囲まれる機関車in新橋も何かすごく悲しいですよ…平取は周辺に人気がまったくなかったので逆の意味で寂しかったですが…
    夕張の冬の為にああいう格好していたのでしょうね。道内を走る機関車には、アタッチメントとして除雪羽がつけられるようになっていたみたいですけど、何だか映画の世界のゴツくてまたデザインも凄く重厚な美しさでした。目の前に現れて、うわーって感じ。客車も全部残っているんですが、風化が部分的に進んでいて応急措置の跡も痛々しいですが、まだまだしっかり保存すれば残せる状態でした。走る姿はもう見られないとは思いますが…私も鉄じゃないですが、こういうのって凄く気になります。
    冬に昔ながらの除雪車ってもう見られないんじゃないですか?私も見たことないです。「鉄道員」はちゃんと見てないんですが、圧倒的に北海道を感じられるシーンのある映画は大好きですね。(^-^)是非平取経由で夕張でひとっ風呂浴びながら、見てきてください。

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