幌加内そば
yonkichi, · カテゴリー: 食べ物さぬきうどんと手打ちのそばを比較すると、どちらが好きだというような話しではなくなる。まったく別の食べ物なのだから、当然だと思う。それがスパゲティでも焼きそばでもラーメンでも、麺類は麺類だがメニューとしては同じものにはならない。面白い所だ。
私はそば好きだったが、実の所そんなに味にはうるさくない。安売りの乾麺のそばでも、一人の時はおいしく頂ける。朝からたぬきそばを作り、由に食べさせた事もある。そばの味が分からないという由でも、暖かい関東風のたぬきそばは、好評だ。新そばとか、そばが香るとか、あまり意識した事がない味オンチでもある。
そんな私が、3年前に日本のそばの最大の産地である、北海道は幌加内でそばを食べた。このあまりのおいしさに、私にしては珍しく、食べる事で幸せを感じられた程だ。
その日は美瑛で1泊したあと、雨の中、一人で神威古潭を抜け、幌加内へ抜けた。途中、降り続く雨と、時間調整の為に、道の駅「森と湖の里ほろかない」にある温泉に入る。カッパをはぎ取るように脱ぎ、玄関の傘たてに干したが、他に傘をたてている人は殆どいなかった。駐車場にも車の数は数台で、皆地元の人ばかり。
ゆっくりと雨の降る中、露天風呂で体を伸ばし、レストハウスでは、打ちたてのそばが食べられるというのが大きく書かれていた。結構な値段だったので、結局パス。雨の中カッパを着て、左右そば畑の国道を北上する。
久しぶりに来た朱鞠内湖。雨に煙る暗い雰囲気は、1985年に訪れた日と変わっていなかった。あの日は晴れていたはずなのだが、人影のない湖畔は、立ち枯れた木が湖面から頭を出し、人造湖なのに厳しい過去を表しているようだった。その湖畔に、この年、新たにユースホステルができて、興味が出て宿泊するつもりになった。
そのユースは、私の弟子屈の定宿の、リンダル・シーダー・ホームズの特徴である、プラウウィンドゥを模したリビングがある。そこ以外は、普通の建物なのだが、真新しい宿には、私と同じかちょっと上くらいのペアレント夫妻が取り仕切っていた。
かの有名な礼文島のユースで、若い頃ヘルパーをしていたらしく、その筋で情報を耳にしたのだが、そんな事はどうでもいい。夕食は幌加内そばを使ったそばづくしが食べられるというのが魅力だった。
私はあまりの土砂降りで、午後の早い時間にチェックインさせて貰った。夕方にバスで到着する鉄っちゃんが一人来るだけで、ペアレントもあわせて4人の夜になる。リビングからは素晴らしく美しい庭のようなスペースが見え、そこは雨で煙っていた。ただちょっと違和感があったのは、巨大なテレビとそれを見る為のソファだった。旅人宿やユースとうよりも、ペアレントのリビングといった感じを受けた。しかし客室の仕分け方はユースそのものだった。
夕方、トントンと音が館内に響いていた。あとで知ったのだが、ペアレントがそばをそば打ち部屋でひたすら打っていた音だったのだ。ペアレントはこのユースを建てるにあたり、幌加内でそば打ち修行をしたそうだ。そんなに長い修行をした訳ではなかったようだが、この夕食に出たそばを食べて、私はそばのおいしさを感動的に感じる事ができた。
普通なら何枚も食べたら相当な額になってしまうが、結局3枚と、最後に暖かいそばが出た。添えられたおにぎりもそばの実が入っていて、香ばしくておいしかった。そばづくしは予想以上に素晴らしく、冷たい雨が降り続く朱鞠内湖畔の夜は、幸せな気分ですぎて行ったのだった。
夜はしばらくペアレントさんと話をして、寛いだ。ちょっと私と同じような、昔と今のギャップを寂しく思っているような、そんな共感を感じながら、それほど会話に盛り上がりもなく、時間がすぎていった。
写真はこの日の感動的においしかったそば。また機会があれば食べに行きたい。

ウマいそばが食べたいねー。
もう少し待てば、信州あたりで新そばが食えるかな。
そういえば、弟子屈の某宿の写真日記にそのスジではかなり有名なそば打ち名人の写真が掲載されていました。
あの人のうったそばを食べてみたいとは思っているうちに、山梨から広島へ引っ越しちゃった(笑)。
らんちょん
弟子屈の某宿の近くに、すげーうまいそば家があるのは知ってますが、由があまりそば好きじゃなかったのと、犬が居たので寄った事はありませんでした。一度行きたいなぁ。
このそばを出す宿はご存じでしょうけど、おすすめですよ。本当にうまかった。打っているトコも今度はみたいなあ。そばだけでなく、付け合わせもなかなか。
ただ、この宿にいる時に、例の地震にあったんだよねぇ…。
ここのお宿は残念ながらYHの登録から落ちています。
しかし、民宿として営業を続けております。
一言言いたいのは、政治的なごたごたには旅人を巻き込まないで欲しい。
YH協会が広報費云々言わなければ。。。。
よいこさん
さすが、ちゃんとここを知ってましたね。(^_^; ペアレントが某有名YHの創成期に関わった方だったようで、そのイメージを払拭するような言葉が多かったです。御夫婦で、奥様はとても気配りのきくいい感じの方でしたよ。
そう、ゆっくりできるかどうかは別なんですが、ここのダンナさんが打つおそばは本当においしかったですよ。量も満足できたし、私は充分だったと思います。どうも私の弟子屈の定宿も、あの建屋を建てる前にリサーチしに行っているようで、リビングの窓のデザインは流用したという事。(^_^;
YH協会って、結局昔からいいイメージないですよね。とほ宿設立のきっかけは、殆どその法律に嫌気が差した人が、もっと自由に宿業をしたかったというのも判る気がします。私も好んでYHに泊まる事はなくなってしまいました。これまで30箇所位利用しましたが、安かろう悪かろうじゃ困りますよね。