丘に吹く風

時には地を這うように、時にはささやくように

道は繋がっている

yonkichi, · カテゴリー:

道というものは、必ずどこかにつながっている。そう、自分の家の前の道でさえ、海に遮られる事はあっても、フェリーの航路でつながっている。自らタイヤというゴムの固まりが転がりだせば、一筆書きよろしくアスファルトやコンクリート、砂利や土というように路面状況は変わろうと、必ず地球上の殆どの場所へつながっている事になる。
自分の足でも、それは同じ。地球上のどこだって、航路さえつながればどの大陸でも行ける。飛行機という空の航路でさえ、つながる事になる。不思議なもので、それが自転車やバイクという乗り物と出会う事で、突然自分の前に扉が開かれて誘われるが如く、どこまでも行ってみたくなるものだ。
旅をするようになって、どこに行きたいという事でもなく、とにかく走りまわる事に魅力を感じるようになった。ブラインドコーナーの先にある風景は、どこも違うものだった。港町でも、それは同じようでいてどの海の表情も違っていた。出会う人も当然ながら、一期一会であり、その場所にしかいない人との出会いだった。
週末やちょっとしたまとまった休みになると、泊まりがけで旅に出た。関東近郊から、初めてのロングツーリングだった四国へ。四国への旅は、神戸までの距離が辛く、そして新鮮だった。睡魔との戦いと、慣れない前傾姿勢による体のきしみや、微振動から来る手の震えなど、辛い事ばかりだったが、これほど遠くまで旅に出た事はなかった事や、六甲の夕陽や瀬戸内の夕暮れと朝もや、黒潮寄せる海の美しさ、食べ物の美味しさなど、素直にこれまで見たことのない日本がそこにあった。
しかし自分がどこを目指しているのか、どこに行きたいのかよく分かっていなかった。その場所がおぼろげに見えてきたのが1985年。
最初は網走の農場に住み込みで働いた時に、その場所に訪れた。それはあきれる程まっすぐな道と、変わらない風景の道東。この場所はバイク乗りとして知っていたが、本当は初めてはバイクで来たかったという気持ちの方が強く、何故か意識がこの場所に訪れる事を拒否をしているような感じだった。この時、車の免許も仮免許で、仕事のあい間に農場の人が少し観光をさせてやろうという配慮からの訪問だった。天気は霧。何も見えなかった。
その夏の終わり、本当はバイク仲間と来る予定だったが、都合により私一人だけの旅になってしまう。私は半分意地になってソロで初めての北海道を走る決心をし、有明埠頭までの道を走った。すると、苫小牧行きの船は昨晩出航してしまい、今晩は出ないという。私の行くべき道はここで終わっていたのか、思ったが、窓口の人は釧路行きが出るという事を教えてくれた。
元々時計まわりで北海道を一周しようと思っていた予定を、私が走るべき道は反時計まわりで行けと言ってくれたようだった。それから始まる私と近海郵船というパラダイスへ続く海路との長い付き合いが、この日から始まったという訳だ。私はさろまという船に乗り、夜半に東京湾につながる海上の道を船と共に走り始めた。
釧路西港からは、地図もよく見ないまま、釧路市内を迷いながら走り、R44に出る。そしてR272を走り、2度目の開陽台へ。やはり霧に迎えられたが、霧が風に吹かれた時、一瞬だったがこれでもかと広がる根釧原野をみる事ができた。この時、この場所に来る事は私にとって重要な意味を持つなんて思ってもみなかった。
丘を降り、そこにつながる道はとても有名な道だった。多くの人が写真を撮り、その場所に来た事を楽しんでいた。道の勾配がとても美しく、天へと続くように見えるまっすぐな道。なぜか、まわりには誰もいなかった。ここまで、自分のバイクで走って来た。それは自分の家から、この道も繋がっている、という事だ。
道というものは、途切れているものではない。必ず行き止まりでも、ループ橋でも、どちらかは繋がっている。そこの上を走る旅人は、当然ながら必ず出会うものなのだ。
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5 Responses to “道は繋がっている”

  1. せんせい より:

    大人は子供になり 子供は大人になれる。
    陽はまた昇る 陽はまた沈む 風はその好むままに吹く 風はまた巡り帰る。
    旅は成就した 円が閉じた。  (開高健:もっと遠く!他より)
    20代、仕事に明け暮れていた頃、休み時間に職場の外へでてアスファルトの道に立ち、澄んだ蒼い空を見つけると毎回身体が凝固し、いつまでも立ち尽くしてしまうことがあった。
    この道を辿れば北海道へ、海を越えて遥かパタゴニアやアグラスまで続いているのだろうな。この空はどこまでもそんな道の上に広がっているのだろうな、と心が飛んでいってしまう。
    道の彼方へ 空の向こうへ
    道は遥かに続き、やがて再び自分の足元に戻ってくる。ならば、こんなアスファルトの上におろす一歩も旅なのか。もっと遠くへ。道の果て 道の端(はな)
    端 花 鼻 、鼻が詰まっている。食事をすると息ができない。どうすればいいのだ!?私は今、花粉症のない道の彼方へ、空の向こうに旅立ちたい。

  2. 多くを語ろうとする私のクチをおさえる
    いいコトバです。
    感動。

  3. よんきち より:

    開高健は実はあんまり読んでないのだ。オーパとか風に訊けは昔読んだかなぁ。
    先生のメールアドレスの空の向こうへ、っていうの、椎名さんの作品の中で聞いた言葉だったかな、私も好きな言葉です。
    空の下、といよりは私は今自分が立っている場所から続く道の先が好きかなというだけで、同じような意味ですよね。
    あ、私も風邪ひきました。鼻水くしゃみと鼻づまりがサイクリックにきますが、花粉症ではありません。辛いよね、鼻悪いと…お大事にね>先生。
    じんじんさんの文章や、ランチョンの文章ってそれぞれ得るものが沢山あって私は好きですよ。毎日戯言を長々を書いている私ですので、結構重複ネタも多いですし。(^_^;おはずかしー。

  4. せんせい より:

    じんじんさん、そう書かれると面映いです。
    毎日戯言を長々を書いている私ですので<なんかねぇ、そんなのがいい感じですな、ここ。想いがリンクしている部分が多いせいか、仕事を終え、帰ってきてここを開くと「うん、うん」てなことが書いてあり、思わずキーボードをたたいて余計なことを書き込んでしまうのだよ、申し訳ないけど。>よんきち

  5. よんきち より:

    コメント頂けるのはウレシイこってす。ありがと>みなさま。m(__)m
    毎日長すぎるって言われてますが…(^_^;いつまで続くかとりあえず。たまに普通のネタもとりまぜながら、思いだし笑いするみたいに懐かしい話を書いてみようかと思ってます。
    ハイジのページ、何度とりかかったかわからない程エディタを開いているんだけど、自分のページなみに難しいんだよね。やっぱりちゃんとしたのつくりたいと思うし…ああ、スランプだ…(-_-)

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