丘に吹く風

時には地を這うように、時にはささやくように

ミツバチ族ブームの影で

yonkichi, · カテゴリー:

1980年代後半から1990年代中頃まで、北海道はいわゆる「ミツバチ族」と呼ばれるバイクのツーリングライダーで夏はあふれ返った。
その前には、いわゆるバックパックを背負い、JRで旅をする「カニ族」と呼ばれる世代があったのだが、私はカニ族の後の世代だ。
その時代を通して、自転車で廻る旅人は居たし、車で廻る人も居た。前者はタフな身体を持ったもので、大学などのサークルが合宿のような形で夏、北海道まで輪行して巡っていた。後者は比較的短期で、お金に余裕のある人が多かったと思う。一言では言えないのだが。
バイクで旅する事は、やはり歩きや自転車に比べると圧倒的に楽だ。しかし雨や炎天下、荷物も積むには限界がある上に、転ぶ事があるという中途半端さから、バイクで旅する事に拘る私のような人種が居て、それがある時期ブームとなって押し寄せた。
今でもその頃の名残はあり、事実夏になればまだ当時ほどの数ではないが、ツーリングライダーは北海道を訪れる。簡易宿泊施設といえば、北海道で生まれたライダーハウスという所も多くは淘汰され、とはいえ今でも稼働している所もある。
そんな時代背景を追って刊行された本があった。美深で行われる祭などは、まさにミツバチ族のピークだったとおもわれる。「旅・北海道ツーリングマニュアル」だ。
同じように沖縄・八重山方面の旅の友である「やえやまガイドブック」や「沖縄・離島情報」などを、行く予定もないのに買う私は、この本も何だかんだいってずっと買い続けていた。「とほ」と呼ばれるユーススタイルの男女別相部屋の旅人宿ネットワークのガイドブックは、B6サイズのような頃からぽつぽつと買っていた。
「とらべるまんの北海道」や「なまら蝦夷」なんかも、時代は随分違うが持っていたが、結構貸したままとか旅先で濡らしてしまって捨ててしまったものもある。
この「旅・北海道ツーリングマニュアル」は、内容はどうとしても、旅人が記念撮影で載っているのが一番楽しみにしていた。知り合いが何人か写っているのを見ては、ほくそ笑んでいたのだが、多くのこの本の読者は同じ目的で購読していたのではないだろうか。
北海道ブームは去った。バイクで旅に出る若者も減った。そういう時代になったというだけだ。
写真は我が家にある疾駆北駆すの9冊。厳密に言うと、創刊0号というのがあり、全10冊らしい。後半は正直な所、惰性で買っていた。
20070227.jpg

続々・旅する本

yonkichi, · カテゴリー:

旅の本は沢山持っている。随分これでも処分したのだが、アジアのバックパックものもそれなりにある。海外ではチベットやネパール、タイや中国、台湾が多い。
その中でこれは絶対に手放せないというランクのものと、まあとっていてもいい、というクラスがあるのだが、その中で中間のレベルのものも少なくない。ただ、捨てられない本というジャンルとでも言おうか。
本の内容も軽く、紙もよくないのだが、当時はこの本が面白くて仕方がなかった。実際知り合いと思われる投稿もあり、微妙に自分の時代とリンクしているのがきっとその理由だろう。
丁度女性バイク乗りマンガで有名になった小道迷子さんのイラストが、脱力系のネタをより雰囲気としてかも出している。
使われている紙はすっかり変色してしまったが、まだページは崩壊していないようだ。この本もめったにページをめくる事はしないだろうが、保存版として保管されていく事になるだろう。
内容は、旅人(ライダー)が旅先で聞いた話や、エピソードなど、実話による投稿だけ。より切実な言葉がそれぞれのページでメッセージを伝えてくる。その場の雰囲気が想像できない人の方が圧倒的に多いはずなのだが、妙に私はうなずいたり、笑えたり、哀れんだりする内容ばかりなのであった。
写真はそのシリーズ2冊。この本を知っている人は相当にマニアだと思う。
20070226.jpg

続・旅する本

yonkichi, · カテゴリー:

TRAILという小冊子があった。革ツナギやグラブやブーツはレースで一流ブランドとしても有名で、ツーリングジャケットもあまりセンスのよいものはなかったが、EXPLORERというブランドのモノは比較的好きだったクシタニが、各販売用のショップで売っていたものだ。
北海道編と、九州編の2つを私は持っている。本はもうぼろぼろで、ページが崩れ落ちそうな状態で、写真もカラーはちょっとだけ、白黒ばかりの本なのだが、オーラというか、少なくとも私にはこの本から力を感じていた。
最初この本を手にしたのは、高校時代。MR50に乗り始め、まだ未舗装のヤビツ峠や犬越路林道を走っていた頃だ。丁度高校の近くに支店があり、そこでガクラン姿の私はTRAILの北海道編を手に入れた。
今でこそそのショップはなくなってしまったが、その隣にあった小さいバイク屋には、大学を卒業し今の職についてから通うようになった。その時にはクシタニは経営難に陥り、厳しい店舗整理が行われていたのだった。
ビックバイクに乗るようになってからは、しばらく五反田のショップによく顔を出していた。高校時代のバイク乗りの友人では、最後まで乗り続けていた友人と一緒にだ。当時私はGPz900R、彼はブラッシュファクトリーでフルペイントをかけた、趣味のいいカスタムが施されたGPz1100。お互いKERKERサウンドを奏でながら、海や大観山までのショートツーリングをよくしたものだった。
そんな私だったが、高校時代からずっとオフロード好きだ。TRAILの北海道編はまさに林道中心。逆に九州編はワインディングをロードスポーツで駆け抜ける内容が多かったので、本の痛みは圧倒的に北海道編なのだった。
旅の匂いがする本。これもまさにその一つだ。またこういう本と出会えるだろうか。
写真はその2冊。痛んでいるが、宝物だ。
20070225.jpg