丘に吹く風

時には地を這うように、時にはささやくように

北東北の旅(4/7)

yonkichi, · カテゴリー:

薬研駐車場の朝は朝もやに包まれていた。時折通過する車の音がするだけで、夜と同じように渓流の音がずっと聞こえている。
明るくなっていくうちに青空が見えてきた。歯磨きをして、バナナの朝食を取ったあと、とりあえず動ける状態にしてから、奥薬研レストハウスへ移動。そこに車を停めて、薬研渓流をぐるっとまわる遊歩道を歩きだした。
吊り橋を渡るとすぐに軌道の線路がしっかりと残っていた。青森ヒバや杉を切り出した時に使用した軌道らしい。遊歩道はそれに沿って伸びている。看板もそれなりに整備されているが、紅葉というよりは森の中を歩く感じだ。下流までしばらく歩くと、また吊り橋があり、そこで渓流の反対側へ。車を停めている所まで渓流沿いを遡る。
こちら側からは河原まで降りられる場所があるので、時折川遊びをくーとする。紅葉は見事で、黄色いブナや僅かだが真っ赤に染まったモミジが美しい。渓流を流れる水も綺麗で、小さい魚が沢山泳いでいる。
レストハウスに戻り、誰もいない足湯で暖まったあと、南下を始めた。
むつ市手前のいさりびハウスはまだ開いていなかったので、隣のサークルKで食料を補充。むつ市は通勤時間にあたってしまったので混んでいる中を走るが、途中から無料開放されている下北道でショートカットできる事がわかり、そちらで一気に野辺地までワープ。
上野から続いているR4に乗り、R394で由に運転を交替。高原ラインをどんどん登る。途中八甲田温泉の隣にある田代平湿原がよさそうなので、寄り道をしてくーと散策。観光客も少なく、高い空の下のびのびと散歩を楽しんだ。
八甲田山をぐるっと回り込み、大観光地酸ヶ湯へ。酸ヶ湯の場所はこんな所だったかと記憶がまったく違う事に驚きながら、駐車場が満杯で参りながらも立ち食いのそばで昼食。これがまったくおいしくないし、待たせている客に「食わせてやる」という態度で非常に不愉快だった。何様なのか、まったく。今回の旅で一番の失敗の食事だった。コンビニ弁当より劣る。
酸ヶ湯は既に混浴時間なので、奥入瀬に入る手前で、歴史のある蔦温泉に立ち寄る。風情のある宿と温泉は観光客で一杯だったが、湯船はそんなでもなかった。高い天井とヒバの香りで、癖のないお湯は安心して暖まる事ができた。男性用に2つの風呂があったので、どちらにも入る。
暖まったあと、紅葉のトンネルを奥入瀬に入る。しかし雨が降り出してきた。真上に真っ黒な雨雲があるが、脇は青空が覗いている。ビジターセンターで地図を貰うがあまり意味がない。石の戸に向かうがとんでもないほど車が居るので通過。その先で駐車できるスペースがあったので停めて少し小雨の中歩いた。
奥入瀬らしい渓谷が少しだが見る事ができた。小雨が降る中でも結構な観光客が歩いている。レインウェアにトレッキングシューズはわかるが、ハイヒールにブラウスという格好の女性も居て、見事に観光地な雰囲気もかもしだしていた。
最後に大滝をちょっと見て、十和田湖へ。辰子の像の手前にある草っぱらと湖岸でまた思いっきりディスクでくーと遊ぶ。山に日が落ちる前にまた車に乗り、発荷峠で湖を由にみせてから、樹海ラインに入り、東北道小坂ICに17時前に乗る。
あとは安代ICまで一気に移動し、ICを降りてガソリンスタンドを探し、ENEOSで給油。真っ暗な中、私がウェブのお手伝いをしている安比高原のペンション、むっていさんに到着した。
いつも電話とメールでしか会った事がないのだが、初めてご対面。小柄な旦那様と元気そうな奥様のご夫婦が迎えてくださり、チェックインとなった。
今回の旅の目的のひとつでもある、このむっていさんへの宿泊。写真を撮ったり、やはりオーナーさんと実際に会う事でイメージが沸き易くなる訳で、3年前からお仕事をさせて頂いているにもかかわらず、やっとこちらにお邪魔できたという感じだった。
綺麗な露天で体を温め、これまたこれでもかという大量のご馳走の和食でもてなされ、由は正直驚いていた。これが普通の連泊メニューというから恐れいる。正直、料理だけで足が出てしまうのではないかと思える質と量であった。
食後に溜まりまくった洗濯をするのだが、操作をミスってしまい、終わったのが23時すぎ。充電や久しぶりに繋いだネットでK9の年会費が未納だったのを振り込んだりとしているうちに、0時をすぎてしまった。
写真は奥入瀬のそれっぽいシーン。スローシャッターは三脚が必要だ。
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北東北の旅(3/7)

yonkichi, · カテゴリー:

丸い輝く太陽がのぼってまもなく、私は目を醒ました。そっと車外に出て、トイレへ。太陽はまだ低いが力強く地上の全てのものを照らしている。
由を起こし、まずは人がいないうちに階段国道の脇へエスクードを移動して記念撮影。車を駐車場に戻して、今度はくーを連れて階段国道を散歩する。
まずは下り。くーは嬉しそうだ。下りきり、民家の脇を通り、漁港まで足を伸ばす。その後来た道を戻るが、飼い主は階段を喘ぎながら昇る。くーは当然だが平気な笑顔。階段脇には紫陽花が枯れているのもあるが、まだ花をつけているのもあった。
中間地点にあった水場で一息。朝日に眩しい竜飛の漁村を眺めながら、ここまで来たんだなあとあらためて感慨深く思うのだった。
車に戻って今度は灯台脇の駐車場へ。まだ8時になったばかりだというのに、観光バスが1台。大勢の観光客が記念撮影に興じていた。くーを連れて灯台まで行き、車でバナナの朝食。くーにも食事をあげ、開いたばかりの土産物屋のおねえさんにくーは遊んで貰う。
道の駅みんまやに戻り、青函トンネルの地下駅へのアプローチがある展示館が開店するので少し待ったが、始発が9時で、往復で相当時間がかかりそうなので諦める。鉄なら確実に何はなくとも待つのだが、今日も結構走る予定なので、諦めて津軽を下る事にした。
途中トンネルの入口付近をみながら、青森市内へ。駅前ビルの地下にある市場食堂で、由は三色丼、私は中落ち丼と赤魚の塩焼きを食べた。中落ちがとてもおいしかった。他におやつのコロッケを買ったり、くー用にササミを2本買ったりしながら、ガソリンを入れ、一路下北半島へ。
25年前、横浜のあたりが眠くてたまらなかったのを思い出しながら尻屋崎へ。むつ市内は車も多く、ペースがあがらないのに少々焦る。目当ての寒立馬はゲート脇に居たが灯台のあたりにはおらず、馬糞だけがいたるところにあるだけだった。青空とさわやかな風はいいのだが、ちょっと散歩をして引き返す。ゲート脇で数台の観光者が寒立馬の写真を撮っていたので、我が家も停めて記念撮影。くーは案外平気だった。
またも我慢の移動後、むつ市内を経由して恐山へ。ここも25年ぶりなのだが、車や観光バスが沢山いて、妙な気分だった。イタコの皆さんも外のテントに並んでいた時と違い、ちゃんと建物の中に入っているらしく、くー連れでは会えなかった。ぐるっと宇曽利湖畔まで散歩して、夕暮れ近づく時間に追われながら、薬研へ向かう。今日車中泊する場所を明るいうちに決めておきたかったのだ。
薬研までの森の中のアップダウンを走る。一気に下るとそこが薬研渓流だ。奥薬研のダートになる手前まで行き、トイレのある駐車場をみつけたが、夜使えるかわからない。とりあえずレストハウスでおいしいと評判の豚丼の夕食を取り、情報収集。トイレに実際に行ってみると、自動照明で綺麗なのだが、裏山から熊が出そうだったので、もう少し下った所にある薬研駐車場で今晩は寝る事にした。
風呂は混浴露天ばかりだったので、頑張って下風呂温泉まで走った。もう少しで大間というロケーションの、共同浴場である大湯はよい雰囲気だった。熱めのお湯はすごく体が暖まり、真っ暗な帰り道に漁火の写真をまたスローシャッターで撮影していたのだが、体は冷えなかった。
薬研駐車場に戻り、私達だけしかいない中、寝床を作って21時にはお休みなさい。渓流の流れと虫の音だけが響き渡っていた。
写真は階段国道の上で。早朝なので観光客はまだいない。本州の北の端まで、よく自走して来たものだ。
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北東北の旅(2/7)

yonkichi, · カテゴリー:

夜明けと共に私は目を醒まし、トイレに行った。充電しなければならない機材があったので、朝のうちにしておこうと思ったというのもある。
外に出ると昨晩食事の時にオーナーが言っていた通り、宿の屋根下に一生懸命穴を開けようとしているキツツキのドラミングが聞こえた。しばらく見ていると大きなキツツキが飛び去って行く。森の向こうに田沢湖の湖面が見える静かな朝だった。
色々降ろした荷物や車中泊用に出していたものを整理したりしているうちに、由も起きてきた。くーは飼い主の近くで寝ないと気が済まないので、クレートの中で寝て貰ったのだが、人が寝る場所がロフトなのでくーは結局クレートのゲートを閉めた状態で1晩を過ごした。
朝食もまた丁寧な和食だった。パン食が多いペンションだが、優しい材料とメニューのとても好感がもてる内容だった。食事にしても、ロケーションにしても、とても満足度が高い。某安売りの予約システムを使ったのだが、この値段では申し訳ないぐらいだ。
食後、田沢湖畔をくーと散歩。朝から嬉しそうに綺麗な湖水にバシャバシャと入り込んで走る。あまりゆっくりしていられないので、30分ほど散歩をして、9時前に出発した。
R105を北上し、二ツ井から山道へ。太良峡で先行車が停まったあとは、前に車がある事もなく、順調に高度をあげていく。白神山地の懐に入っていく。釣瓶落峠手前では車を停めて崖上から美しい紅葉を見つつ、トンネル手前で芋煮会をしているおばさん4人にくーを可愛がって貰う。
トンネルを越えてしばらくいくと、いきなりダートになった。それまでは簡易舗装されていたので走るのも楽だったが、やっと本格的なダートの始まりだった。その道のどまん中にバイクが横転している。ライダーは結構体格のよいオジサンで、札幌ナンバーだった。
引き起しを手伝うが、何やら操作もおぼつかない。あまり手を出す気はなかったが、セルがまわらないというので途方に暮れてしまう。これでは私達も見捨てて行けないので、シフトとクラッチとイグニッションを操作していくうちに、ニュートラルが表示されないくせにセキュリティのランプは点いている事が気になり、感覚でニュートラを出してクラッチを切り、セル。するとセルがまわり始めた。そう、メーターの電気系が切れているようなのだった。
キャブなのかインジェクションなのかもわからないというのだが、どう見てもキャブなので、アクセルを開けてセル。しばらくするとエンジンが息を吹き返した。
秋田の役所に電話をして舗装を確かめたというのだが、きっとそれは秋田側は舗装してあるという事だったのではないかと意見した。行政はそんなもんだと思ったからだ。青森側はわかりませんと一言言ってくれればいいのだろうが、気持ちよくワインディングを飛ばしていたらいきなり下りのダートになった所、コケたという結末らしい。
メーターは動かないが走る事はできるので、とりあえずこの先どの位ダートが続いているかわからないと私も言い、引き返す事にしたようだった。気をつけてと手を降り、彼は秋田方面に去って行った。私たちは青森側へ改めて進む。30分ほどのロスだったが、アクアグリーンビレッジANMONまでは未舗装はトータル10kmほどあったのではないだろうか。彼は来なくて正解だった。
ANMONで簡単に昼食。りんごソフトを食べてさあ難所越えだ。津軽峠に向かってダートへ入る。すると観光バスやら普通車やらが何台も走っている。SUVの方がはるかに少ない。いわゆる白神ラインはダートではあるが比較的走りやすいが、途中赤石渓谷への分岐を鯵ヶ沢に入る、赤石林道に入った途端、道の様相は一転した。何にしろガレているのだ。
部分的に10km/h以下にしないとまとにに走れない。それが20km以上も続いたので、私もヘトヘトになってしまった。バイクで走るのとは違い、由もくーも乗っているのだから、静かに走りきらなければならない。心底疲れた。
熊の湯で一休みをしようと、立ち寄り湯に入ったのだが、これが鉄分山盛りの真っ赤な湯。それも強烈な硬水で、髪の毛も肌もギシギシ言う。タオルも真っ赤に染まり、これでは入った気にならないという事で、どこか別の温泉を探す事にした。
十三湖方面に向かうのだが、日が暮れてきて店も何もない。道の駅のしじみ定食もタイムオーバーで間に合わなかった。十三湖脇の食堂も潰れていて、仕方なく手前で1件だけみつけた中華料理屋へ。そこでしじみ汁がついたカツ丼と親子丼を食べた。当然、客は私達だけ。店主は半分電気を消して、テレビを横になってみていたような店だった。
とりあえず暖かいご飯を食べられたので、ちょっとだけほっとしつつ、時間は18時前なのでまだ移動できるという事から、もう少し進んでみる事にした。
小泊近くでランランと明るいサークルKをみつけて入ると、見事に都会と同じような品揃えで驚いた。ここで弁当でも買えばよかったと少々悔やんだほど。アイスクリームとお菓子とデザートを買い、北上を続けた。すると、中泊という小泊の手前の海岸線で、雄乃湯温泉という看板をみつけてUターン。旅館のようだが外来もまだやっているという。ここで熊の湯のギシギシ肌をもう一度温めようという事になった。
温泉は貸し切り。誰もいない。ちょっとカルキ臭いが真っ暗な水平線の向こうに漁火が見え、なかなかの雰囲気だった。ここは津軽は北の果て。そんな気分をかきたてられながら、体を温めた。
時間は19時前。明日の朝、目覚めたあと階段国道でくーを散歩させようという当初の計画通り、真っ暗な中、竜泊ラインのワインディングを上り始める。他に誰もすれ違わない真っ暗な中、少しづつ竜飛崎に近づいていく。
途中眺瞰台展望台には1台、車中泊の先客が居た。そこで本当なら明るい時に写真を撮りたかったアングルを、何とかスローシャッターで撮影。これはゾクっとくる風景だった。遠くに漁火が美しく、ワインディングも壮観だった。トイレは使えるので、ここで泊まるのもいいかと思ったが、くーの散歩の事を考え、道の駅みんまやの上にある駐車場をこの日の寝床と決めた。
竜飛崎に近づいていくにつれ、雨が降ってきた。道の駅の場所がよくわからず、探したのだが、階段国道へ歩いていける場所の駐車場に立派なトイレもあるので、そこに決めた。他に2台、先客がいたが、我が家も先客の邪魔にならないよう、端の方に停め、寝床を作って21時には就寝したのだった。
写真は眺瞰台展望台の夜。スローシャッターで撮影。実際は真っ暗で、肉眼では月明かりでほんのり道が見える位なのだが、60秒のバルブ撮影をすると、森の色までしっかりと出る。津軽海峡の沖には漁火が美しく、不思議な画像が切り取れた。
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