コーナーの向こう側へ
yonkichi, · カテゴリー: バイクというタイトルでも、山川健一氏の著書の事ではない。
我が家の近くに、ちょっとした起伏のある道がある。
箱根山地区と言われるちょっと高台。昔軍事施設があったようで、私が小学校、中学校時代は、とても広大な森に見え、少々不気味な雰囲気さえあった。今ではすっかり散歩コースや通勤コースになっている。
私はバスを行きとはちょっと違う、手前で降りて、街灯の少ないカーブと坂が続く細い道を下り、朝とは別の方向から家に帰る事が多い。徒歩で15分程の道のりだ。
このコーナーはブラインドになっている所も、S字カーブもあり、それがフラットではなく勾配がついている。抜け道としてタクシーやトラックが飛ばしていくのだが、一応歩道とはしっかりガードレールで分けられているので安全ではある。途中1つだけ信号のある横断歩道があるのだが、押しボタン式である事と、車が来なければ赤信号で渡ってしまう人しかいないので、めったに赤にならない。
ここをバイクで何度も走った事があるのだが、なぜか攻めるとまではいかないが、ちょっとだけキビキビしたコーナリングをしてしまう。別に必要性はまったくないのだが、そこはバイクに乗っている人間の性なのかもしれない。深いカーブ手前のS字では、筑波サーキットのS字を駆け抜ける平忠彦よろしく、逆の重心をかけたまま切り返したりしてしまう。
夜は特に街灯の部分だけしか飛ばしていると見えない。しかし山道を走るように、点々と間隔をおいて立っている街灯下の道路だけが、ぼんやりと照らされている中を、ストロボに照らされるように、街灯と街灯の間の暗闇と、照らされた明かりの続く真っ暗な道を駆け抜ける。
アスファルトは街灯に照らされ、光っている。そんな道をみていると、ツーリングの帰り、日が暮れた奥多摩や秩父の山の中を、飛ばしている自分を思い出してしまう。デジャヴ、とまではいかないが、真っ暗な世界に、曲がりくねった道を照らすように等間隔で並ぶ街灯の明かりは、独特の世界ではないだろうか。
普段の会社への行き帰りの中に、そんな事を感じさせる道が1本あるという事は、ちょっと嬉しい事だ。バスを使う事で、バックパックを背負い、郊外のバスで移動しているような気分もあって、少しだけ気分転換になるのは、時間こそ早く到着するが、山手線ですし詰めにされながら帰るよりははるかに気分的によい。
たまにそんな事を思っている時に、スロットルとギアをうまくあわせながら美しく走り抜けるバイク乗りをみると、もっと嬉しくなってしまう訳で…
写真は随分昔、旅先で撮影する為に移動中の1シーン。あまり意味はない。
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