丘に吹く風

時には地を這うように、時にはささやくように

モンスターの条件

yonkichi, · カテゴリー: バイク

モンスター。怪物と言われるバイクがある。
人が操れる限界を超えた、馬力や特性を持つもの。それはエンジンパワーや、アクセルをあけていく途中、極端にパワーが出るエリアがあるものなどが、その恐ろしいほどの力を体に感じた時に、そう呼ばれる事が多いと思う。
リッターバイク、いわゆるナナハンよりもはるかに排気量の大きい、1000ccクラスのバイクを指す言い方なのだが、バイクという乗り物を知らない人は、なんだ軽自動車に毛の生えた程度の排気量なんだ、と思われるかもしれない。それに、バイクというものは、地面に接している部分というのはサッカーボール2個分程度でしかない面積で、200kg以上の車重をあずけ、大きく傾けなければ曲がれないという、これだけ言うだけでもロクでもない乗り物だと言われてもおかしくない。事実、私もそう思う事がある。
しかし、そのパフォーマンスと必要とされるテクニックは非常に高い。
お金さえあれば、ポルシェだろうがフェラーリだろうが買え、その気になれば比較的まっすぐな高速道路であれば250km/h位の速度を出すのは、普通免許取り立てでも可能だろう。しかし、カローラの価格程度で、ポルシェやフェラーリなみのパフォーマンスをバイクなら手に入れる事ができる。しかも免許取り立てどころか、いきなり大型免許は取れない訳で、少なくとも400cc以下のバイクの免許を取らなければ、手にする事はできない。
ましてや昔は教習所では取れず、限定解除という儀式の中で、試験場で受ける試験において、1~8%程度しか合格者がでないという狭き門をくぐりぬけなければ、この怪物に乗る資格は得られなかった。
そんなパフォーマンスを日本国内で使える所があるのか、という声も多く聴いた。しかし、それは乗った事のない人たちが言う事だ。バイクという乗り物自体、言葉でその魅力や恐怖や充実感を説明できるものではない。そう、大型もそれと同じ世界。乗ってみて初めてそのスゴさ、レベルの差というのが理解できるものだ。
モンスターと呼ばれるバイクは、お金を出せば誰でも手に入れる事ができる。しかし、それを安全に、かつパフォーマンスや、ジャジャ馬ぶりを楽しむ事ができるかというと、経験やセンス、そして思い入れがものを言う。
とはいえ、この乗り物は明らかに趣味、物好きで乗る以外、乗る理由がないものと言い切れる。実用に適さない、モンスターに乗らなければできない事はまず無いというのも事実だ。別にリッターバイクと呼ばれるものがなくても、人間が生きていく上で何も困らない。
それでも、このモンスターが開けてくれる扉を目指す者がおり、また扉の向こうの世界にどっぷりと漬かってしまう者がいる事も確かだ。私は扉を数回開けて向こう側の世界にしばらく居た事があるのだが、今は扉を半開きにしておいてある、という感じだろうか。
私が相棒として迎えたモンスターは、8台目で取り上げたGPz900R-A7だった。そしてそのモンスターに磨きをかけるべく、扉の向こう側に居た私は、自分のフィーリングとシンクロするように、写真のようなカスタムをしていた。これは、リア側だけ。フロント側など、他のポイントはまた後日。
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3 Responses to “モンスターの条件”

  1. 行きつけのバイク屋での名文句があります。
    「地獄のパワーも金次第」
    おそまつさまでした。

  2. よんきち より:

    そうそう、金だせばドゥカでもBMでも買えます。でも目指すのは馬力でも速度でもないんだよね。フィールっていうか、ワクワクしたいだけ。それも金次第って事だよね…
    自分がどういう特性が好きなのか、長い間乗ってると少しずつわかってくるものですが、でもそれが本当にあっているかは、誰もわかりません。
    結局のトコ、自己満足なんですよね。いーじゃない、それだって立派な理由さ。
    あ、バンコクからありがとう。私がバンコクいき始めた頃は176cc以上はほとんどみかけなかったけど、日本で一時ビックバイクが大量に盗難された時期があった事から、タイにも多くリッターバイクが流れたとききますが、みかけますか?
    じんじんさんも被害者の一人…悔しいよね。

  3. らんちょん より:

    バンコク市内でリッターバイクは、今のところほとんど見かけていないですね。
    私も少しは見かけると思ったのですが、大きくて400ccくらいでしょうか。
    相変わらず125ccクラスが全盛です。

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