丘に吹く風

時には地を這うように、時にはささやくように

前後18inchのコーナリング(4台目)

yonkichi, · カテゴリー: バイク

伯父が先週の金曜に亡くなり、今日はお通夜だった。
実家の上のフロアに伯父は住んでいて、俗にいう本家の家主が亡くなり、古いしきたりが残る我が一族は金曜の夜から大勢集まってきて、大変な事になっていたのである。
私は分家のそれも次男という事で、面倒な事はずっと避けてきたのだが、今回は何かとやらなければならないようで、明日の告別式は忌引を取って朝からまたいろいろ大変になりそうだ。
という事もあって、あまり書けない日なので、今日も歴代愛車シリーズで…
さて、ガンマという恐ろしく暴力的な250ccで、四国に自走往復したり、北海道を走ったり、あまりロングツーリングには適さない車種で新しい世界に踏み出した私は、純粋にディメンションがニュートラルなバイクに魅力を感じていった。またビックシングルに魅力を強く感じていた。
しかし私は当時中型限定免許。したがって車種もそれなりに限定されていった。その中で、丁度限定バージョンとして発売されたヤマハSRX-4 YSP Limited Editionに目が向き、もう他の車種は興味がなくなっていった。丁度私の好きな黒であったし、デザインも秀逸。何より前後18インチのメッツラーという構成が、それまで前後のタイヤ径が違う車種しか乗ったことがなかった私は、リーンウィズでワインディングを駆け抜けるビッグシングルにベタ惚れしてしまったのだった。
ローンを組み、洗足池近くの値引きが多いお店で購入。エンジンのかけ方にちょっと戸惑いながらも、すぐにその軽快で思いの外テンポの早い走りにどんどん引き込まれて行く。ファッション性強いSRよりも、モダン・シングル・スポーツというジャンルに属すると言われたSRXは、2型でフロントが18インチから17インチにダウンされた。しかし私は前後18インチの初期型SRXが好きだ。
サウンド・オブ・シングルスや、エコー・デ・カトルといったレースも見に行った。ハンドルをマグラのクリップオンにし、リアフェンダーをルーカステールが組まれたオレンジブルバード社のスタイリッシュなFRPフェンダーに交換。ウィンカーも小型にし、オイルクーラーを仕込んだ。しかしマフラーだけはスーパートラップにはせず、何故かノーマルにこだわっていた。
このバイクは私にとってとても重要な時期の相棒だった。日本縦断に出たのもこいつであり、北海道には2度、就職し新たなバイク仲間とツーリングをした時もこいつだった。それまで緊迫感と背中あわせだったワインディング走行は、逆に楽しくて仕方なくなったのも、レーサーレプリカではなく、オーソドックスなビッグシングルのこいつだった。名車、そう呼ぶに値する。
某丘で、ある意味運命的な出会いとなったしいたけ兄ちゃんが、ホンダのビッグシングル、GB400TTに当時乗っていた。意気投合し、数日後霧多布岬のバンガローで再会を約束。霧に包まれた岬が夕日の時間にすーっと晴れ、見事な洛陽と満天の星空が思い出される。
ロングツーリングライフが始まり、丘の人々との繋がりが本格的に結ばれはじめた頃でもあった。
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旧車をみかけて想う事

yonkichi, · カテゴリー: バイク

実家から家に戻る途中、懐かしきバイクをみかけた。
そう、3月2日の日記に書いた、XL250Rcだ。
少し前から、この年代のバイクに乗る若者が多いような気がする。KHやSS、GT380などもみかける程だ。私がバイクに乗り始めた頃には既に生産中止になっていたオールドバイク。ガソリンだって、無鉛で走るかどうか怪しいようなものを、綺麗に乗っているという事について、どういう経緯があるのかはわからない。
ただ感じる事は、大事に乗っていたものを譲り受けて、乗り出したという感じではなさそうだ。妙に綺麗なタンク、なぜだか殆どのライダーが半キャップで、顎ヒモしらまともに締めていない。グラブはまずしておらず、へたをすれば踵を踏みつぶしたスニーカーだったりする。偏見かもしれないが、私はそういう乗り方は好きではない。きっとどこかのアンティークバイクショップで、エンジンの汚れと比較すればアンバランスな新品タンクや、部分的に交換したのがわかるような構成で、異様に高いお金を払って手に入れたのだろう。そう、どこかのファッション誌やドラマでとりあげられたのがきっかけのように。
まあ自分だけが痛い目をあうのなら別段口を挟む筋合いはないが、事故というものは相手がある場合の方が多い。その時に相手に非がない場合に、無駄な心配や心の傷を負わせる事になりかねない。当然そんな事考えている訳がないタイプが、自己中心的な運転で、公共のフィールドで我がままな事を平気でするわけで…免許とかマナーというのは何の為にあるのだかわからなくなってしまう。
しかしその日みかけたXLは、しっかり手入れされたアライのSZで、足元はトレッキングブーツ、グラブはスワニーだろうか、カラシ色の無骨なワークグローブで、ジャケットも地味だが袖と首まわりが締められるタイプだ。最近ではきわめて減った、ポイントを抑えたライディングスタイルのバイク乗りが乗っていた。妙に嬉しかった。大事に乗っているのが伝わってくる、そういう姿を見る事は幸せを感じる。
写真は初めてキャンプに行った、丹沢の神之川キャンプ場。川を渡った先にテントを張った。一緒に行った友人のXT250と私のXL250Rの2台。初めて買ったモンベルのムーンライト3テントと共に。
私は1台のバイクを長く乗り続けるタイプではないようだ。このバイクは友人の友人へ、テントはこの後7年程使い、友人の手へ渡って行った。
このXLには、パリダカモデルというのがあり、その純正部品である太いサイドスタンドとフロントのオーバーフェンダーを装着している。他にカスタムパーツとして、レンサルのハンドル、ヘッドライトガード、キャリアなどを追加。ヘッドライトガードは純正カラーに塗るなど、いろいろツーリング向きにカスタマイズもしていた。
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初めてのレプリカ(3台目)

yonkichi, · カテゴリー: バイク

どうやら今晩から、都心も雪模様となるらしい。
あいかわらず変な咳が出たり、たまに熱っぽくなる体調を騙し騙し、週末までもたせているという感じである。
今季は雪とあまり縁がない。というのも、スキーも北海道旅行もトレッキングも計画が軒並み犬の怪我でキャンセルされてしまっているからである。本当なら道東か信州、もしくは那須周辺の雪原へ遊びにでかけていたはずなのだが…どうもツイていない。
という訳で、引き続きバイクの話。
我が3台目の愛車は、これまでのオフロード(トレール)バイクから一転して、獰猛なエンジンフィールの250cc、2ストロークレーサーレプリカである。
特にスピードに何かを求めるような走りをするタイプではないが、突然この時のハイパフォーマンスバイクに乗る事で、ライディングスタイルを見直したいと思い、これまでとはまったく違う種類のスズキRG250ガンマ2型を手に入れた。
一世風靡したRZは、友人を失うという衝撃の出来事も生み、そのレーサーレプリカの恐ろしさと背中あわせの存在だった。そんな中、ガンマ1型は高校の友人が発売と同時に手にいれ、興味本位で乗せて貰ったのだが、いきなり立ちゴケしそうになるブレーキタッチとピックアップで、懲りてしまった。やはり同時期にGPz400がデビューし、そのスタイルに惚れ込んでしまったが、車検付のバイクなんか維持できる経済状態ではなかった。
ガンマが2型となり、それまでのデザインより好感が持て、ブレーキタッチも大幅に改善。また何より気に入らなかったエキゾーストノートが低音が含まれる好ましいものに変わり、ハーベーカラーではなくあえてスズキワークスのカラーを選んだ。
色々な理由や経緯があったのだが、そのパワーの出方やフロント16インチの独特の乗り方に難儀しつつ、乗る喜びを感じるようになってきた1カ月目のある日、私はとんでもない大事故を起こしてしまった。実家にアルバイトに行く為、早朝埼玉へガンマを走らしている最中、横に接近してきた大型トラックが、幌の左右に垂らしている平ゴムのベルトが、私の運転しているガンマのハンドルエンドに絡まり、加速中だった私は一種にしてバイク前方5~10mに飛ばされた。ヘルメットをアスファルトが削り、肩から叩きつけられた。しかしその瞬間の多くは覚えていない。
気がついた時は、2車線の道路のまん中で、立ち上がろうとしていた。白いワンボックスが目の前に停まっており、運転手が顔を出し、大丈夫か、と声をかけた。私はすみませんと何故かあやまりつつ、道路のまん中に横たわるガンマを引きずるように、路肩に引っ張って行った。しばらくすると、停まっていた車は走り去り、道路には通常の車の流れが戻っていた。それを眺めるように、路肩に腰をおろし、サイドスタンドをかけたガンマの横に何が起きたのか一生懸命思い出そうとしている自分が居た。原因となったトラックは消えていた。
肩が痛い。ヘルメットも傷がついてしまった。肘と膝を擦りむいているが、骨は折れていないようだ。ああ、やってしまった、いくら修理にかかるのだろう、と悔やむ事が次々と浮かんでくる。
ふと、フロントタイヤの下にオイル溜まりができているのに気がついた。よくみると、アルミ製のフォークのボトムケースがバックリ割れ、中のスプリングが見えている。フロントフォーク2本とも、右側に湾曲し、それに沿ってダブルディスクも平行に曲がっていた。どうやら、このフロントタイヤの上を、トラックのダブルタイヤが乗り上げていったようだ。
途端に体が震えた。死んでいたかもしれない。本当に恐怖だった。非力なバイク乗りを痛切に感じた。
落ち着いてからトラックをよび、その足でバイク屋にドック入りした。しばらく乗るのが怖くて仕方がなかったが、私は乗り続ける道を選んだ。その時の気持ちの変わり方は、簡単には説明はできないが…
修理は1カ月近くかかり、もう1台買える位の値段をかけて復活。その後、このガンマで北海道へ初ツーリングを行ったり、峠を走る楽しさを覚えていく。
思いの外、ロングツーリングでも扱いやすかったのだが、写真のまだ未舗装のサロベツロードは、フロントが小径&ワイドタイヤなガンマは非常に乗り辛く、汗だくだった事を思い出す。利尻富士が美しい。
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