丘に吹く風

時には地を這うように、時にはささやくように

ビッグオフロード(10台目)

yonkichi, · カテゴリー: バイク

ネパールネタが続いたので、またバイクに少し話を戻そうと思う。
あと私の車歴もちょっとになった。
バブル当時、埼玉のガレージに3台のバイクが格納されていた。KDX200SR-G1、GSX750S-1、GPz900R-A7、どれも黒い車体だった。維持費も大きく負担が大きい事もあり、1台で全てまかなえる車種を選ぼうとしていた所、雑誌でKLX650Rがスッパ抜かれた。
少し前からやはりいずれはXR600Rと思っていた。その暴力的なパフォーマンスは十分に承知していたが、それがカワサキから出るという事は、カワサキ好きな私として見逃す訳がなかった。しかし、完全なるレーサーはシートレールの強度も、一般道を走る状況も考えると、どうしてもロングツーリングには決心がいかなかった。
そんな時、KLX650Rの兄弟車、KLX650というRがつかないモデルがある事がわかった。ましてや、黒があるという。これは決まりかもしれない。
当時行きつけだったモトショップ世田谷で注文したのだが、3カ月経っても入ってこない。待ちに待ってやってきた直後、丁度立ち上げから少々関係してきたアウトライダーパティオのオフがあった事から、100kmも走っていない新車で参加した。
オフの内容は佐野ラーメンを食べる事なのだが、プレオフとして当時それなりに有名だった100km林道を走り、1泊バンガローに泊まり、翌日ラーメンを食べて帰るというようなものだった。
バイク屋に納品されたKLX650は、いたる所で驚きがあった。いや、驚きというか、あきれるというか。少々憤慨していたというのが正確かもしれない。KLX650はKLX650Rとはまったく別のバイクだったのだ。車重も30kgも重く、リアサスはリザーバータンクだと思っていた部分がそれっぽく見せた工具入れだったり、ミッションもまったく別。正直ショックだった。しかしロングツーリングという場ではまあそれなりにデザインも乗り心地も悪くないのは確かだった。
林道では装飾された保安部品やメーターまわりの重さや振動がうっとうしかった。その上ギア比がうまくつながらない。暴力的なパワーだったはずの650ccシングルは、とてもマイルドな味付けになっていた。
このバイクではその重さにふりまわされてしまい、今までハマった事のなかった開陽台の側道で見事にスタックし、T塾長に助けて貰うなど情けない状況に陥ったのが思い出される。でも積載性もよく、結局こいつで2度、北海道を走ったという事から、私は結構気に入っていたのかもしれない。
やっぱり600ccクラスのオフ車は、XRが一番魅力があるというのは間違いないが、デザインや味はやはりカワサキの方が私には合っているのかもしれない。
ダートでアクセルをワイドオープンし、後ろがあばれているようなシーンが気持ちいいのだが、実際は荷物満載でそんな走りはまずしない。
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自分にあわせるために

yonkichi, · カテゴリー: バイク

今日は朝から仕事。ぜんぜん終わらないので、明日も仕事の予定。まだかかりそうだ。
昨日とうってかわって、どんよりとした空で少々肌寒い。昨日はいい天気だったので、お彼岸という事もあり墓参に行ってきた。車でいけばすぐなのだが、実家によったり定期通院があったりで自転車で行った。
マウンテンバイクにロードタイヤを履かせたタイプなのだが、結構ボロボロである。腐ってもプジョーなのだが、所詮廉価モデル。シマノのディレーラも安いタイプだし、錆びている。手入れもあまりしていないせいもあるのだが…
体調が完全に復活していないせいもあるが、自転車で青梅街道を車の流れをリードしながら走るのは辛い。途中から歩道をテレテレと走る。こういう時にバイクが手元にあれば便利だと思うのだが…都心にはバイクの置き場所すら自由にならないものだ。まあ遠慮もなく、危険な停め方をして歩行者の迷惑をかけて平気なガキも多いのも事実だが…
昨日に続いてモンスターの話。
私はエンジンパワーとディメンションは、基本設計が1981年頃のモデルなのだからあまり高い期待はしていなかった。その頃最速だと言われていたZZ-R1100C1は、確かに私のニンジャと比べてもニューモデルに間違いはなかった。フレーム剛性、エンジン特性、ブレーキ、ライポジなどよくなっているのは認めていた。しかしニンジャを選んだのは個人的な思い入れだった。
当時世界最速を目指して作られたニンジャ。今思えば貧弱なスチールのダイヤモンドフレームに、新設計の水冷900ccのエンジン、フロントフォークのプアーさをAVDSという機構でフォローし、細いスイングアームにフロント16インチという時代を感じさせるハンドリングだった。それがA7になって、少しだけマシになった。
ラジアルタイヤ、フロントフォークなど剛性をあげたり、フロントを17インチにアップ。AVDSの撤去とニッシンの4podキャリパが奢られたが、その他は特に変更はないため、フレームまわりの弱さやポジションの無理さがどうしても気になった。
スーパーバイクレースの影響か、殆どのカスタニンジャがパイプハンドルに変更されてた。確かに乗りやすい。でも私はハンドルだけはクリップオンが好きだったので、シートをアンコ抜きしてハンドルとステップとシートのポジションを自分なりにあわせたりした。
カスタムはいろいろなポイントに手を入れていったが、やはり足回りとブレーキ回り殆ど交換する結果になってしまった。リアは目の字断面でスタビなしのPVM。前後ホイールはストリートでの使用を考慮してPVMのエレクトロン・マグネシウムホイール。フロントブレーキディスクはやはりPVMの鋳鉄ベンチレーテッド・フルフローティング・ダブルディスク。ブレーキは共にロッキード。フロントの4podとリアの125レーサー用2podを、それぞれワンオフサポートで装着。ホースはグッドリッジ、マスターシリンダーはブレーキ・クラッチ共にニッシン。タイヤはミシュラン59X、リアサスにオーリンズ、フロントにホワイトパワーのプロライン、K&Nエアフィルタ、KERKER 4in2でメーンスタンドもそのまま使用でき、サイレンサーにちょっと空き缶を詰めるだけで、練馬の陸運をそのまま通る程の出来だった。
ここまでやっても、ZZ-R1100には叶わない。いいのだ、バイクとはそういうものなのだから。
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モンスターの条件

yonkichi, · カテゴリー: バイク

モンスター。怪物と言われるバイクがある。
人が操れる限界を超えた、馬力や特性を持つもの。それはエンジンパワーや、アクセルをあけていく途中、極端にパワーが出るエリアがあるものなどが、その恐ろしいほどの力を体に感じた時に、そう呼ばれる事が多いと思う。
リッターバイク、いわゆるナナハンよりもはるかに排気量の大きい、1000ccクラスのバイクを指す言い方なのだが、バイクという乗り物を知らない人は、なんだ軽自動車に毛の生えた程度の排気量なんだ、と思われるかもしれない。それに、バイクというものは、地面に接している部分というのはサッカーボール2個分程度でしかない面積で、200kg以上の車重をあずけ、大きく傾けなければ曲がれないという、これだけ言うだけでもロクでもない乗り物だと言われてもおかしくない。事実、私もそう思う事がある。
しかし、そのパフォーマンスと必要とされるテクニックは非常に高い。
お金さえあれば、ポルシェだろうがフェラーリだろうが買え、その気になれば比較的まっすぐな高速道路であれば250km/h位の速度を出すのは、普通免許取り立てでも可能だろう。しかし、カローラの価格程度で、ポルシェやフェラーリなみのパフォーマンスをバイクなら手に入れる事ができる。しかも免許取り立てどころか、いきなり大型免許は取れない訳で、少なくとも400cc以下のバイクの免許を取らなければ、手にする事はできない。
ましてや昔は教習所では取れず、限定解除という儀式の中で、試験場で受ける試験において、1~8%程度しか合格者がでないという狭き門をくぐりぬけなければ、この怪物に乗る資格は得られなかった。
そんなパフォーマンスを日本国内で使える所があるのか、という声も多く聴いた。しかし、それは乗った事のない人たちが言う事だ。バイクという乗り物自体、言葉でその魅力や恐怖や充実感を説明できるものではない。そう、大型もそれと同じ世界。乗ってみて初めてそのスゴさ、レベルの差というのが理解できるものだ。
モンスターと呼ばれるバイクは、お金を出せば誰でも手に入れる事ができる。しかし、それを安全に、かつパフォーマンスや、ジャジャ馬ぶりを楽しむ事ができるかというと、経験やセンス、そして思い入れがものを言う。
とはいえ、この乗り物は明らかに趣味、物好きで乗る以外、乗る理由がないものと言い切れる。実用に適さない、モンスターに乗らなければできない事はまず無いというのも事実だ。別にリッターバイクと呼ばれるものがなくても、人間が生きていく上で何も困らない。
それでも、このモンスターが開けてくれる扉を目指す者がおり、また扉の向こうの世界にどっぷりと漬かってしまう者がいる事も確かだ。私は扉を数回開けて向こう側の世界にしばらく居た事があるのだが、今は扉を半開きにしておいてある、という感じだろうか。
私が相棒として迎えたモンスターは、8台目で取り上げたGPz900R-A7だった。そしてそのモンスターに磨きをかけるべく、扉の向こう側に居た私は、自分のフィーリングとシンクロするように、写真のようなカスタムをしていた。これは、リア側だけ。フロント側など、他のポイントはまた後日。
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